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動物管理関連統計(長崎市・長崎県・全国)

久しぶりに統計データのチェックを行なったので、まとめておきます。長崎市は『長崎市の保健行政』、長崎県は県生活衛生課資料、全国は環境省の『動物愛護管理行政事務提要』から引いています。



長崎市動物管理関連統計

長崎県動物管理関連統計

環境省動物管理関連統計

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長崎市猫の適正飼養ガイドライン〔改訂版〕

年度末のぎりぎりになって、ようやく配布の運びとなったのですが、昨年夏から進めていた「長崎市猫の適正飼養ガイドライン〔改訂版〕」ができあがりました。

PEN03881

発行: 長崎市動物管理センター(2014年3月)

制作協力: 長崎県動物愛護推進協議会長崎支部・長崎県地域猫活動連絡協議会

B5判8ページ・フルカラー

昨年6月の記事で、全国のあちこちの自治体のガイドラインを比較して、埼玉県入間市のガイドラインがすてきだなあ、なんてことを書いていたのは、今回の改訂作業が頭にあったからです。

すてきな表紙のイラストや本文カットを引き受けて下さったのは、椿あすさん。椿さんは、長崎猫の会.の佐世保譲渡会のお手伝いをされていて、猫の会のとらきちさん長崎県地域猫活動連絡協議会ねこ会議@中のひとさんがご縁をつないで下さって、イラスト制作をお願いしました。おかげさまで、お役所資料っぽくない、やわらかいガイドラインを仕上げることができました。

肝腎の中身は、改訂前のバージョンよりも内容を絞り込み、読みやすいこと・わかりやすいことを念頭に編集しました。

  • はじめに(ひととねこが平和に共存するまちづくりのために)
  • ねこの分類
  • ねこの生態と習性
  • 適正飼養とは
  • ねこの困りごと(子ねこを拾ってしまったが、どうしたらいいだろうか/庭によそのねこがやってきて糞尿被害を受けている/近所で餌やりをされ、ねこが集まって迷惑している/家の前に猫を捨てられて困っている/去勢手術・不妊手術は受けさせたいが、お金がない/飼いねこが迷子になってしまいました。どうしたらいいですか?)
  • 長崎市のねこ事情
  • 地域ねこ活動
  • TNRと耳先カット
  • 緊急・災害時対策
  • 困ったときの連絡先 

新しいガイドラインは、長崎市動物管理センター(長崎市茂里町2-2)で配布しています。ひとりでも多くの方が手にとってご覧いただければうれしいです。

guideline_cover PDFはこちらから

テーマ : 猫と暮らす
ジャンル : ペット

パブコメ:長崎県動物愛護管理推進計画(改訂素案)

長崎県では、2008年3月に策定した「長崎県動物愛護管理推進計画」の見直しに伴うパブリックコメントを、2月14日(金)まで募集しています(対象は長崎県民となっています)。

 

長崎県動物愛護管理推進計画(改訂素案)に対するパブリックコメントの募集

 

今回の見直しは、昨年9月に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正施行されたことに伴うもので、2014(平成26)年度~2023(平成35)年度までを対象期間として、長崎県の動物の愛護及び管理に関する施策の方向性を示すことになります。

 

募集ページに掲載されている改訂内容の概要版では、主な改訂事項として次の5点が挙げられています。

  1. 動物愛護管理推進目標(犬及び猫の引取り頭数の抑制)の再設定……現行計画の目標(平成18年度実績をベースに10年間で半減)を平成23年度で達成していることから、更なる削減目標として、平成18年度実績をベースに平成35年度までの10年間で75%減を目指します。
  2. 終生飼養の明記……改正法に動物の所有者等の責務として終生飼養が明記されたことから、計画中にも終生飼養を明記し、飼い主等に対して普及啓発を図っていきます。
  3. 災害時対策に関する施策の設定……改正法に計画には災害時対策に関する施策を定めるように明記されたことから、項目を追加し、関係団体との連携体制の整備等を図っていきます。
  4. 策定後5年間に実施した施策の反映……計画策定後5年間に実施した施策(動物愛護推進協議会の設置、動物愛護推進員の委嘱、長崎県動物愛護情報ネットワークの開設等)を計画に反映しました。
  5. 計画期間……平成26年4月1日から平成35年3月31日までの10年間とします。

目を引くのはやはり(1)の犬猫引取り削減目標でしょうけれども、個人的には、目標値そのものをどこに設定するかよりは、その目標値を実現するためにどういった施策・手段を並べられるかが大事だと考えています。75%減を100%減(=引取りゼロ)にすれば目標としてはもっとすばらしいけれども、それが実現できないならただの画に描いたもちに過ぎないわけで、大事なのはそこに至るプロセスをどれだけ緻密に・実効性をもって組み立てられるかだと思うわけです。

たとえば「終生飼養」の意識を県民にもっと広く浸透させることは、その目標に到達するためのかなり重要なカギを握ります。じゃあ、どうやって浸透させるのか。ビラを配るのか、回覧板を回すのか、広報誌に載せるのか、啓発報道を盛んにしてもらうのか、だれかアイドルでも起用してイベントを開くのか、条例による罰則規定を設けるのか。どこにどう働きかければ、世の中がどう動くのか、ってことを考えて実行する方が、たぶん、大事。

 

そういった目で見ていこうとすると、概要版よりはもう少し詳しく、実際の改訂素案をていねいに読み込んでいく必要が出てきます。「改訂」しようとするわけですから、元の2008年の計画からどの部分が改訂=変わっているのかがわかると、より考えやすい、というわけで「新旧対照表」というのも用意されています。概要版改訂素案新旧対照表の3つを見比べながら、「どうすればもっとよい改訂を加えられるか」と考えて、それをパブコメとして提出すればいいわけです。

 

提出のしかたはなんでもいいわけではなくて、専用の書式が用意されています。

「長崎県動物愛護管理推進計画(改訂素案)」に対するご意見提出用紙(PDF)
「長崎県動物愛護管理推進計画(改訂素案)」に対するご意見提出用紙(Word)

これに記入して、郵送 or FAX or E-mail で長崎県県民生活部生活衛生課食品乳肉衛生班=長崎県の動物愛護管理行政の担当部署に届けることになります。書式を見ればわかりますが、「ご意見」は1箇所につき用紙1枚を使うことになっているようです。また、2月14日(金)必着、となっていますが、郵送はともかく、FAX・E-mail は何時までに送ればいいのか、ちょっとよくわかりません。県庁の閉庁時刻は17:45ですので、たぶんそのくらいでしょう。

このブログを読む方は、Wordで記入してE-mailで提出するケースが大半だと思いますが、その際の送り先・送り方は次の通りです。

送信先:s03140@pref.nagasaki.lg.jp
件名:「長崎県動物愛護管理推進計画(改訂素案)」に対する意見

意見を書き込んだWordファイルを必要な個数添付するか、もしくは、1つのWordファイルに記入枠をどんどんコピペして増やして何ページかにしたものを添付するか、そのあたりの指示はありませんが、普通は後者でしょうね。メール本文には、氏名・住所・電話番号・E-mailアドレスを書いて、よろしくお願いします、とか書いておけばいいと思います。

 


 

長くなってきたので、具体的な用紙の記入例は、次の記事に。

テーマ : 動物愛護
ジャンル : ペット

動物愛護法改正環境省パンフレット(一般飼い主編)

動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました

今日9月1日から改正動物愛護法が施行されましたが、その改正内容について、一般飼い主として知っておくべき点をまとめたパンフレットを環境省が作成しています(PDFダウンロードはこちら)。

内容ですが、ペットショップなどで動物を購入する際には、飼い主となる自分自身がきちんと確かめるべき点を確かめましょう、と呼びかける「動物の購入にあたって」(p.3)、終生飼養できなくなっても安易にその命を投げ出すことはできないことを念押しする「最後まで責任をもって飼いましょう」(p.4)、多頭飼いについて特に注意を促す「たくさんの動物を飼う場合」(p.6)など、簡潔によくまとめられていると思いました。実物を環境省のサイトで見ていただければ済む話ですが、いちおうここでも引用紹介しておきます。

 


 

動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました

  • 動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)の販売は、動物愛護管理法に基づき、都道府県等に登録された動物取扱業者(9月より第一種動物取扱業者)以外することができません。動物の購入に当たっては、販売先が動物取扱業者かどうかを確認しましょう。
  • 改正動物愛護管理法により、動物取扱業者は、動物の販売に際して、あらかじめ、動物の現在の状況を直接見せること(現物確認)及び対面でその動物を適切に飼うために必要な情報を説明すること(対面説明)が義務付けられます。
    動物を飼う前には、しっかりその動物を自分の目で確認し、販売業者から、その動物の病歴、飼い方や不妊去勢に関すること、寿命等の説明を受け、最後まで責任を持って飼える場合にのみ、その動物を購入するようにしましょう。
  • 犬及び猫については、生後56日(平成28年8月31日までは45日、それ以降別に法律で定めるまでの間は49日)を経過しない場合の販売等が禁止されます。子犬・子猫は可愛いですが、生後一定期間は親兄弟と一緒に過ごさないと、吠え癖や咬み癖などが強まったり攻撃的になったりといった問題行動を起こす可能性が高まることが指摘されています。購入前に、生年月日を確認して、一定期間親兄弟と過ごしているかを確認しましょう。

 

動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました

  • これまで、都道府県等は犬猫の引取りを飼い主から求められた場合には、それらを引き取ってきました。しかし、改正動物愛護管理法により、終生飼養の原則に反する引取りを拒否できるようになりました。
  • 飼い主には、終生飼養の責任があります。最後まで愛情と責任をもって飼いましょう。
  • 自らの病気などによりどうしても飼えなくなった場合には、自分で新たな飼い主を探す、動物愛護団体に相談する等して、譲渡先を見つけるようにしましょう。
  • 愛護動物をみだりに殺傷・遺棄することは犯罪です。改正動物愛護管理法により、罰則が強化されました(みだりな殺傷…200万円以下の罰金等、遺棄…100万円以下の罰金)。絶対に傷つけたり捨てたりしてはいけません。
  • みだりに、給餌や給水をやめたり、酷使したり、病気やけがの状態で放置したり、ふん尿が堆積するなどの不衛生な場所で飼ったりする等の行為は、「虐待」です。動物を虐待することは犯罪です(100万円以下の罰金)。

 

動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました

  • たくさんの動物を飼う場合、全ての動物に十分に手が回らなかったり、清潔な環境の確保が大変になる場合があります。自分で適切に飼うことができる頭数を飼うことを心がけましょう。
  • 動物は、不妊去勢しないと頭数が増加する可能性があります。特に、猫などを外飼いしている場合、いつの間にかたくさんの子猫が生まれてくるということがあります。繁殖を望まない場合には、不妊去勢手術などの繁殖を制限するための措置を行いましょう。
  • 都道府県知事は、以下のような場合、飼い主に対してその状況を改善するための勧告・命令を行うことができます。
    (1)多くの動物を飼うことにより、騒音や悪臭など、周辺の生活環境を悪化させている場合。
    (2)多くの動物を適切に飼っていないことにより動物が衰弱する等の虐待のおそれが生じた場合。
    また、命令に従わない場合は罰則が科せられます。日頃より適切な環境で飼うようにするとともに、もし、都道府県等から指導があった場合は、その指導に従い、飼養環境を改善する、譲渡等により飼う頭数を減らす等の取組を進めましょう。

テーマ : 動物愛護
ジャンル : ペット

宇多天皇の黒猫(寛平御記)

24日に行なわれた長崎の町ねこ調査隊塾主催の「長崎の町ねこ講座 ねこを知る、ねこを楽しむ」で資料として使ったので、まとめておきます。

 

宇多天皇(867~931年・第59代天皇・在位887~897年)が在位期間中に書いた日記「宇多天皇宸記(寛平御記)」は、現存する天皇の日記としては最古のものですが、書かれた全てが伝わっているわけではなく、断片的にいくつかの日記が残っているだけです。

そのわずかな断片のなかに、当時宇多天皇が飼っていた黒猫に関する記述があること、そしてそれはそのまま、現存する最古の「猫飼い日記」となることは、いろいろなブログで紹介されています(→たとえばくるねこ大和「寛平御記」2010年2月15日)。

その親バカぶりはほほえましく、ねことひととの関係すべからくかくあれかし、とさるねこ父には思えます。原文と対訳を載せてみます。

 


 

寛平元年二月六日。朕閑時述猫消息曰。驪猫一隻。大宰少貳源精秩満来朝所献於先帝。

寛平元年旧暦2月6日(=現在の暦に直すと889年3月11日)。暇に任せて、私の猫について述べてみよう。この1匹の黒猫[1]は、大宰府次官であった源精[2]が任期を終えて都に戻り、先帝(=光孝天皇[3])に献上したものである。

 [1]「驪」は純黒色の馬のこと。

 [2] 嵯峨天皇(786~842年・第52代天皇・在位809~823年)の孫にあたり、嵯峨天皇の曾孫にあたる宇多天皇からはいとこおじ(遠縁のおじ)に当たる。

 [3] 光孝天皇(830~887年・第58代天皇・在位884~887年)は、宇多天皇の父。源精と同じく、嵯峨天皇の孫にあたり、いとこ同士になる。

 

愛其毛色之不類。餘猫猫皆淺黑色也。此獨深黑如墨。爲其形容惡似韓盧。

その毛色は類い希で、他の猫がみなどこかぼやけた灰黒色なのに比べ、この猫だけは墨のように真っ黒で、まことに愛おしい。まるで韓廬[4]のようである。

 [4]「韓廬」は、戦国時代に韓の国で産出した黒い猟犬を指す。

 

長尺有五寸高六寸許。其屈也。小如秬粒。其伸也。長如張弓。

背の高さは6寸(18cm)ほど、体の長さは1尺5寸(45cm)ほどである。小さくかがむとまるで小さな黒黍の粒のようだし、大きく伸びるとまるで弓を張ったように長い。

 

眼精晶熒如針芒之亂眩。耳鋒直竪如匙上之不搖。

瞳はきらきらとして針のように光り、耳はスプーンのようにまっすぐに立って揺るぎもしない。

 

其伏臥時。團圓不見足尾。宛如堀中之玄璧。其行歩時。寂寞不聞音聲。恰如雲上黑龍。

ちんまりと猫座りをしている時は、丸まって足もしっぽも見えず、まるで岩屋の中に鎮座する黒い宝玉だ。歩くときはひっそりと音も立てず、まるで雲の上をゆく黒龍だ。

 

性好道引暗合五禽。常低頭尾著地。而曲聳背脊高二尺許。毛色悅澤盖由是乎。亦能捕夜鼠捷於他猫。

導引術の気法を好むようで、その動きはちょうど五禽戯(=虎、鹿、熊、猿、鳥の動きを真似する運動法)と同じである。いつも頭を低くしてしっぽを地面に着ける姿勢をしているが、立ち上がってびよーんと背中を伸ばすと2尺(60cm)ほどの高さになる。このような気法を身につけているから毛色が美しいのであろうか。さらに、夜ネズミを捕えるすばしっこさは他の猫以上である。

 

先帝愛翫數日之後賜之于朕。朕撫養五年于今。毎旦給之以乳粥。

先帝(父である光孝天皇)は、この黒猫を数日かわいがったのち、私に下さった。私がこの猫を飼い始めて5年になるが、毎朝乳粥を与えてかわいがっている。

 

豈啻取材能翹捷。誠因先帝所賜。雖微物殊有情於懐育耳。

それはただこの猫が何か優れているからそうするのではなく、先帝が下さったものであるから、どんな小さなものでも大事にしているのである。

 

仍曰。汝含陰陽之氣備支竅之形。心有必寧知我乎。猫乃歎息舉首仰睨吾顔。似咽心盈臆口不能言。

猫に向かってこう言ってみた。「おまえは、心も体もきちんと備わっている。心があれば、きっとわたしのことがわかっているね」と。しかし猫は、ためいきをつき、わたしの顔をじっと見上げ、なんだか胸がいっぱいの様子だったけれども、ものを話すことはできなかったのだ。

 


 

「わたしの猫は、こんなに美猫で、こんなに優れているのだ」と、あらん限りの美辞麗句を並べる宇多天皇の姿は、なんともほほえましく、また親近感を覚えます。当時の日本においては、御所内においてさえも、毎朝「乳粥」を食べさせるなんて贅沢の極みだったでしょうが(毎日シーバどころではない)、しょうがないじゃないですか、ねこさまだもの。

ねこに向かって「おまえはきっとわたしのことがよくわかっているね」なんて、バカみたいだけれど、でも、親バカ飼い主ならみんなやったことがあるはず。

 

世の中に暮らすどのねこにも、こんなふうにかわいがってくれる飼い主がいれば、ねこもひともハッピーだと思います。

テーマ : 猫と暮らす
ジャンル : ペット

動物愛護法2012年改正関連パブコメ最終回(2)

つい先日(1)を書いたと思ったら、もう締切間際です。さるねこ父の知識と能力の限界から、今回はALIVEさんのパブコメ案を下敷きにしつつ、資料1「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」資料2「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」についてのみ、環境省に意見を送ろうと思います。とりあえず資料1「基本的な指針」から。


第1 動物の愛護及び管理の基本的な考え方:(動物の愛護)

【該当箇所1】人と動物とは生命的に連続した存在であるとする科学的な知見や生きとし生けるものを大切にする心を踏まえ、動物の命に対して感謝及び畏敬の念を抱くとともに、この気持ちを命あるものである動物の取扱いに反映させることが欠かせないものである。

【意見内容】上記後半部について「人と動物とは生命的に連続した存在であるとする科学的な知見や生きとし生けるものを大切にする観点から、動物の命に対して真摯に向き合い、その尊厳を冒さないことが求められる。」と修正する。

【理由】動物の愛護について検討する上で、その命の尊厳の重要性を述べるにあたっては、単に感謝や畏敬の念のみならず、より根本的に「命に対して真摯に向き合い、その尊厳を冒さない」という心構えが求められると考える。

 

【該当箇所2】人は、他の生物を利用し、その命を犠牲にしなければ生きていけない存在である。このため、動物の利用又は殺処分を疎んずるのではなく、自然の摂理や社会の条理として直視し、厳粛に受け止めることが現実には必要である。しかし、人を動物に対する圧倒的な優位者としてとらえて、動物の命を軽視したり、動物をみだりに利用したりすることは誤りである。

【意見内容】上記前半部について「人がその諸活動において、他の生物を利用し、またその命を犠牲にしている現状に対しては、その事実を厳粛に受け止め、できる限り動物の苦痛の軽減および犠牲の減少を考えていかなければならない。したがって、人を動物に対する圧倒的な優位者としてとらえて、動物の命を軽視したり、動物をみだりに利用したりすることは誤りである。」と修正する。

【理由】旧指針が策定された2006年10月以降、鳥インフルエンザや口蹄疫流行に伴う殺処分、東日本大震災後の被爆家畜殺処分など、「自然の摂理や社会の条理として受け止めるべき」と片づけるには苛酷すぎる事例が頻発している。単に「受け止める」だけではなく、「苦痛の軽減と犠牲の減少」を追求するべきであると考える。

 

第2 今後の施策展開の方向:2 施策別の取組:(1)普及啓発

【該当箇所1】「①現状と課題」中、「動物の愛護及び管理を推進するためには、広く国民が、終生飼養の責務や動物の虐待の防止と動物の適正な取扱いに関して正しい知識及び理解を持つことが重要である。」

【意見内容】上記について「動物の愛護及び管理を推進するためには、広く国民が、終生飼養の責務や動物の虐待及び遺棄の防止と動物の適正な取扱いに関して正しい知識及び理解を持つことが重要である。」と、「遺棄」に言及する。

【理由】法第1条の改正により、法の目的の1番目に「動物の虐待及び遺棄の防止」と「遺棄」について言及されたため、この箇所についても同様に修正するべきである。

 

【該当箇所2】「②講ずべき施策」イのうち、「動物との触れ合い事業の推進に当たっては、適正な飼養管理や動物のストレスを減らす配慮が必要であり、国によるガイドライン作成などそのあり方について検討すること。」

【意見内容】上記冒頭について、「動物に触れる体験事業を行なうに当たっては、適正な飼養管理や動物のストレスを減らす配慮が必要であり、国によるガイドライン作成などそのあり方について検討すること。」と、「推進」の表現を削除する。

【理由】動物に触れる体験を持つことが子どもたちに豊かな情操を育む可能性については否定しないものの、そうした体験を事業として「推進」するという表現は、こうした「触れ合い」が往々にして一方的な人間側の自己満足に終わり、触れ合わせられる動物にとってはストレスにしかならない点、しかもそのことがほとんど認識されていないという現状を鑑みると、不適切である。

 

第2 今後の施策展開の方向:2 施策別の取組:(2)適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保

【該当箇所1】「①現状と課題」中、「こうした問題を踏まえ、平成24年の動物愛護管理法改正により、所有者等の責務として終生飼養や適正な繁殖に係る努力義務が明文化された。」

【意見内容】上記末尾について「こうした問題を踏まえ、平成24年の動物愛護管理法改正により、所有者等の責務として終生飼養や適正な繁殖に係る努力義務が明文化され、また、虐待や遺棄への罰則が強化された。」と、罰則規定に言及する。

【理由】これに先立って遺棄・虐待に言及していることから、当然に、遺棄・虐待に関する罰則規定の強化についても触れるべきであると考える。

 

【該当箇所2】「①現状と課題」中、「殺処分率は約94%(平成16年度)から約79%(平成23年度)への減少となっており、殺処分率の減少に向けた更なる取組が必要である。」

【意見内容】上記について「この期間に犬の殺処分数が57%減少したのに対し猫の殺処分数は40%の減少にとどまっている。また殺処分率は約94%(平成16年度)から約79%(平成23年度)への減少となっており、犬猫それぞれの殺処分数の減少及び殺処分率の減少に向け更なる取組が必要である。」と修正する。

【理由】殺処分数が当初目標を上回るペースで減少していること自体は喜ばしいことである。しかしながら、全体の殺処分数だけで施策を決定できるわけではなく、むしろ今後は犬と猫とでそれぞれに異なる施策の必要性が認められる。なぜならば、登録制度のある犬とそうではない猫とを比べると、当然ながら収容から殺処分に至る経緯は異なっており、その結果としての殺処分数の推移も異なってくる。殺処分数減少のためのより有効な施策をとる上では、犬・猫を分けて分析・考察することが望ましいと考える。

 

【該当箇所3】「②講ずべき施策」アのうち、「みだりな繁殖を防止するための不妊去勢措置の推進、安易な飼養の抑制等による終生飼養の徹底、動物取扱業者からの販売時における説明・指導等が適切に行われるようにすること等により、」

【意見内容】上記冒頭について「みだりな繁殖を防止するための不妊去勢措置や地域猫活動等による飼い主のいない個体の適正管理の推進、安易な飼養の抑制等による終生飼養の徹底、動物取扱業者からの販売時における説明・指導等が適切に行われるようにすること等により、」と、地域猫活動に言及する。

【理由】殺処分のうち飼い主の特定できない幼齢個体の占める割合は大きい。これに対応するためには、地域猫活動等によって飼い主の特定できない成熟個体の適正管理を進めることが有効であると考える。

 

第2 今後の施策展開の方向:2 施策別の取組:(3)動物による危害や迷惑問題の防止

【該当箇所】「②講ずべき施策」アのうち、「地域の実情を踏まえた計画づくり等への支援を含め、飼い主のいない猫を生み出さないための取組を推進し、」

【意見内容】上記冒頭について「その目的や方法・プロセスの普及啓発、地域の実情を踏まえた計画づくり等への支援を含め、飼い主のいない猫を生み出さないための取組を推進し、」と、普及啓発を第一に掲げる。

【理由】地域猫の活動については、その用語自体は徐々に浸透しつつあるように感じられるが、それが「ねこをかわいがるためではなく、地域の環境をよりよくするため」のものであり、「飼い主のいないねこを中長期的にゼロに近づけていくために」「地域住民の合意形成を伴って」なされるべきものであるという点は、極めて限定的な範囲にしか浸透していないと実感する。こうした地域猫活動の目的・方法・プロセスをより広く浸透させることこそ、地域猫活動を広汎に展開していく上で国及び地方公共団体に課せられるべき役割であると考える。


資料1「基本的な指針」については以上です。

テーマ : 動物愛護
ジャンル : ペット

動物愛護法2012年改正関連パブコメ最終回(1)

2012年9月5日に公布された「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律」(平成24年法律第79号)によって、「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正内容が決まり(以下「2012年改正」)、2012年12月12日公布の「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成24年政令第296号)によってその期日が2013年9月1日と定まりました。

 

この改正をめぐって、これまでに都合5回のパブリックコメントが実施されてきました。

  1. 動物取扱業の適正化について(案)に対する意見の募集……2011年7月28日~8月27日=深夜販売・移動販売・ネット販売・オークション・日齢制限・繁殖制限ほか | [内容] | [結果]
  2. 「動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令案等の概要」に対する意見の募集……2011年11月8日~12月7日=オークション・犬猫の夜間展示禁止ほか | [内容] | [結果1] | [結果2]
  3. 「動物愛護管理のあり方について(案)(「動物取扱業の適正化」を除く)」に対する意見の募集……2011年11月8日~12月7日=虐待、多頭飼育、自治体収容施設、特定動物、実験動物、産業動物、罰則強化、マイクロチップ、不妊化、繁殖制限、学校・公園飼育動物、災害対応ほか | [内容] | [結果]
  4. 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令案等に関する意見の募集(パブリックコメント)……2012年4月23日~5月7日=ねこカフェに関する経過措置 | [内容] | [結果]
  5. 動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正等に伴う動物の愛護及び管理に関する法律施行規則等の一部改正案に関する意見の募集……2012年11月13日~12月12日=犬猫等販売業者、販売時の情報提供、第二種動物取扱業、虐待、引取り拒否 | [内容] | [結果]

4回目のねこカフェパブコメについてはこちら5回目の施行規則パブコメについてはこちらなんかで、さるねこ父も記事にしてきました。

 

さて、この間に政権交代なんかもあったりしましたが、今回6・7回目のパブリックコメントの募集となります。これで最終回(のはず)です。

  1. 動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針及び動物の飼養及び保管に関する基準等の改正案に対する 意見の募集……2013年6月13日~7月12日=基本指針、家庭動物基準、展示動物基準、実験動物基準、産業動物基準、所有者明示措置、引取りおよび収容 | [内容]
  2. 動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令案概要に対する意見の募集……2013年6月13日~7月12日=特定動物 | [内容]

 

こうしてみると、3回目のパブコメが、今回2012年改正の骨格を定めたものと言っていいように思います。動物取扱業――なかでもいわゆる販売業者 vs 動物愛護活動家のつばぜり合いとなった1・2回目のパブコメの方が派手だった印象はありますが、さるねこ父個人としてはそれらは「枝葉」であって、広い意味での適正飼養をめぐる3回目のパブコメこそが「幹」だったと考えます。

 

現在募集されている6、7回目のパブコメも、地味ではありますが、広い意味での適正飼養、つまり「人間は動物とどのように向き合うべきか」についての向こう5~10年の指針・基準を定めるためのものです。

 

指針や基準それ自体がただちに市民生活に拘束力を伴う規制を加えるわけではありません。たとえば多頭飼育に関して、新しい「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」案では、第3の3で、

 所有者等は、その飼養及び保管する家庭動物等の数を、適切な飼養環境の確保、終生飼養の確保及び周辺の生活環境の保全に支障を生じさせないよう適切な管理が可能となる範囲内とするよう努めること。適切な管理をおこなうことができない場合、虐待となるおそれがあることを十分認識すること。〔下線部は改正案において付加された部分〕

と規定しています。「不適切な多頭飼いは、虐待になるかもしれんから、わかってんだろうな」という圧力であるわけですが、では実際に不適切な多頭飼いをしている人間の家のドアをコンコンとノックする公権力が現れるのかというと、そういうわけではない。あるいは、先鋭的な動物愛護活動家が自警団を組織して、コンコンと家々をノックして回ってもいいですよ、と奨めるわけでもない(まあ、あたりまえですが)。極端に言えば、こうやって書いてあってもなくても、世の中の99.9...%の「不適切な多頭飼い」の状況には、実質なんの変化もないでしょう。

 

じゃあ、この改正にはなんの意味もないのか、というとそうではなくて、こうした指針や基準は「これからの社会通念・一般常識はこうである(&こうでなければならない)」と示すために重要なのだと思います。そして、それらを改正するということは、「過去に比べて、現在・将来はこう変わっていく・変わっていかなくてはならない」と公に宣言することにつながります。

 

もうひとつ、こうした指針や基準は「公的なお墨付き」としても機能します。「犬猫の飼い方なんて、人それぞれ、自由だろ」という物言いに対して、「いや、なんでもかんでも自由というわけではない、あなたのその飼い方は『間違っている』」と主張するだけの論拠を、指針や基準は与えてくれます……そこから先、実効性のある強制力を働かせられるかというと、必ずしもそうとは限りませんがorz。

 

というわけで「それなりに大事」な今回のパブコメ募集に関して、これから何回かに分けて記事にしていこうと思います。

テーマ : 動物愛護
ジャンル : ペット

ねこの適正飼養ガイドライン(暫定一覧)

ちょっと必要があって調べていたのですが、完全室内飼いではない飼いねこをふくむ「ねこの適正飼養ガイドライン」的なものが、この10年足らずの間にあちこちの自治体で策定されているので、まとめてみました。きちんと探せばもっと出てくると思いますが、まずはGoogle検索で簡単に見つかったものだけ。また、環境省の資料(動物愛護管理行政事務提要平成23年度版2-4 猫の保護(愛護)及び管理に関する要綱等の概要)にも一覧がありますが、網羅的ではないようです。

 

基本的にどの自治体のものも、「完全室内飼いではないねこ」がもたらす地域生活環境の悪化・トラブルに対して、ねこの捕獲・駆除、あるいは餌やりの禁止ではなく、飼い主による飼養管理の明確化と、そこから漏れるねこのTNRを軸としたバース・コントロールで対応しようとしています。そして、多くは必然的に地域ねこ活動にも言及しています。

Wordでベタ打ちしたような素っ気ない&味気ないものから、フルカラーでイラスト入りのわかりやすいものまでいろいろですが、こうしたガイドラインは地域住民の間に内容が浸透しなければ意味がないわけですから(策定しただけではだめ)、それなりに分量を抑えた上で、ポイントを絞ってとっつきやすいデザインにするべきでしょう。

個人的には、埼玉県入間市のガイドラインが見やすくてわかりやすいなあ、と思います。

テーマ : 野良猫・地域猫
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ねこと野鳥(2)

前回のつづきです。記事の方もつづきを出しておきます。

 

米で野良猫「駆除論」:野鳥被害、年24億羽 愛猫団体は反発

 米国で猫に殺される野鳥が年間24億羽に上り、深刻な脅威になっているとの論文が英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に発表された。野鳥保護団体が「すぐにでも対策が必要だ」と訴えるのに対し、愛猫団体は「猫を殺しても野鳥は救えない」と反発する。

 米スミソニアン保全生物学研究所の鳥類研究者らが過去の数十の調査結果から推計したところ、アラスカとハワイを除く米国では、猫に殺される野鳥は年間24億羽、ネズミやウサギ、リスなどの小動物は123億匹に上るという。

 飼い猫は約8400万匹、野良猫は3千万~8千万匹いると推測され、ほとんどは野良猫の仕業だが、野鳥の被害の3割近くが屋外にも行くことができる飼い猫によるという。研究者らは「ビルや自動車との衝突など人為的要因を調べた過去の研究に比べても、最も深刻な脅威だ」としている。米鳥類保護協会では以前から「飼い猫は室内で飼うべきだ」と訴え、同協会は「深刻な影響が出る前にこの問題を真剣に受け止めるべきだ」とコメントした。

 一方、野良猫の保護や避妊活動を展開する団体「アリー・キャット・アライズ」は「鳥や野生動物にとっての本当の脅威は環境汚染や生息域の破壊で、ネコを殺しても救えない」と反発している。 (ワシントン=行方史郎)

〔『朝日新聞』2013年2月19日夕刊2面〕

 

前回この元論文は「なんらかの意図をもって、『結果ありき』でつくられたもの」と指摘しましたが、そのあたりの裏がよくわかるのが、記事本文で挙げられている「愛猫団体」の「アリー・キャット・アライズ」の動きです。

 

アリー・キャット・アライズ(ACA, Alley Cat Allies)については「全米ノラねこデー(National Feral Cat Day)」で以前一度紹介していますが、地域ぐるみでのTNRを推進する団体です。ACAは、1月29日に件の論文がNature Communicationsに掲載された翌日の1月30日に、即座にこれを批判的に紹介し、非難する声明文を出しています(PRESS RELEASE: Alley Cat Allies Responds to Study's Claims on Cats and Birds)。元論文の問題点が、ねこの側から見て、よくわかります。またざっと全文訳してみます。

 

われわれACA(ノラねこ同盟)はネイチャー誌掲載のねこによる野鳥被害を訴える論文に反論する

当該論文は、ずっと以前に発表された・信頼に足りない研究に基づいた、極めて煽情的でゆがめられた「科学的」研究でしかない

 われわれACAは、国内で唯一のノラねこの保護と人道的扱いを促進する保護団体です。われわれは、このたびネイチャー誌に掲載されたねこと野生動物に関する偏見に満ちた研究に対して反論します。この論文は、外ねこ(outdoor cats)による捕殺数を水増ししようとする野鳥保護団体によるいわば「暗黙の(=あからさまにしない)キャンペーン」と呼ぶべきものです。

 ACAの共同設立者で理事長のベッキー・ロビンソン(Becky Robinson)は、「この研究は以前から継続的に行われている『ねこに対する中傷』キャンペーンの一環だ」と述べています。「論文の著者たちは、『まず結論ありき』で研究に取り組み、その結論に都合のよい研究だけを『つまみ食い』しただけのように思える。彼らが引用している研究の一部は半世紀以上前のものだ。あまつさえ彼らは、ねこを毒殺しようとした容疑によってコロンビア州特別区陪審によって有罪宣告を受け、その結果スミソニアン博物館から免職処分を受けたニコ・ドーフィン(Nico Dauphine)の研究すら引用しているのである。彼女(ニコ・ドーフィン)は、この論文の共同執筆者であるピーター・マーラ(Peter Marra)のためにねこを毒殺しようとして有罪となった」。

 「彼らのいう『研究調査』は、野生生物の減少に対して世間の注意を向けさせようとするありきたりの世論操作でしかない。『研究調査』とは名ばかりで、架空の議論を捏造しているに過ぎない。この論文は、自らに都合よく、野生生物の減少をもたらした真犯人から目をそらしている。言うまでもなくそれは、野生生物の生息環境の破壊を含む人間活動そのものである。」

 「さらに論文の著者たちは、彼らの提示する『解決策』が、実際には20世紀から続く『ねこの大量殺処分』という役立たずの環境政策の継続を支持するものである点について、口をつぐんでいる。1000万匹という数の健康なねこが収容施設やシェルターにおいてこれまでに殺されてきたが、多額の税金がそこにつぎ込まれたにも関わらず、このことはなにひとつ問題を解決していない。『さらなる殺処分』という政策をとることが正しい答えであるはずがない」、とベッキー・ロビンソンは述べています。

 彼女(ベッキー・ロビンソン)は、TNRについて、それはねこの世代再生産(子ねこ、孫ねこが生まれてくること)を断ち切り、ノラねこの個体数を安定させることに寄与すると述べ、だからこそ毎年より多くの自治体がTNRという革新的・共感的・常識的なアプローチへと転換し続けているのだとまとめている。

 「個体数を安定させたのちに減少させていくTNRの成功により、かつてはノラねこの大きな群れがあちこちにあった地域では、それらの群れが次第に消滅していっている。「捕獲・殺処分(catch and kill)」から「不妊化・リリース(neuter and return)」へと自治体が政策転換するだけの十分な理由がある。」

 「本当の意味で野鳥や野生生物に対して脅威となるのは環境汚染と生息環境の分断・破壊であり、その解決のための「簡単な」方策などない」と彼女は言う。「われわれは、煽情的な見出しと悪質な科学にだまされてはいけない。ねこの殺処分は決して野鳥や哺乳類の保護にはつながらない」。

 

……「ねこ殺しの容疑でスミソニアンをクビになった研究者の論文を引用している」というのも、たいがいセンセーショナルですが、もちろんさるねこ父はそのあたりの真偽に立ち入るつもりはありません。本当の意味で問題なのは、ベッキー・ロビンソンさんが後半で述べている部分です。

 

この論文の締めくくりは、前回の記事でも述べましたが、「科学的に信頼できる保護策と政策的な介入が必要だ」というものでした。そこではなにも「はっきり」とは述べられていません。そこが狡い。「じゃあ、どうしたらいいの?」という点について「ねこを殺しましょう」とは、論文の中ではひとことも述べられてはいないのです。

その一方で、論文の中では「ねこによる野鳥・野生哺乳類の捕殺数」について延々と記述が続きます。そして、「ねこがこんなに殺しちゃうんですよ、野鳥やリスがいなくなっちゃいますね、だからなんらかの保護政策が必要です」とだけ述べている。

ACAはそれに対し、「ねこの殺処分で問題は解決しない」と返していますが、元論文の執筆者からすれば「それはオーバーリアクションです、われわれはなにもそんなことは言っていない」という反論が可能です。実に狡猾です。

 

ACAはその後も「ジャンク・サイエンス(でたらめ科学)」に反対しようというネット署名活動を立ち上げたり(2月2日)、care2という国際署名サイト上で主張を展開したり(2月7日)しています。この先どういう展開になるのか、ぼちぼちウォッチしていこうと思います。

テーマ : 野良猫・地域猫
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ねこと野鳥(1)

朝日新聞デジタルから引用です。

猫を殺せば野鳥救える? 野鳥保護団体「深刻な脅威」

 【行方史郎=ワシントン】米国で猫に殺される野鳥が年間24億羽に上り、深刻な脅威になっているとの論文が英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に発表された。野鳥保護団体が「すぐにでも対策が必要だ」と訴えるのに対し、愛猫団体は「猫を殺しても野鳥は救えない」と反発する。

 米スミソニアン保全生物学研究所の鳥類研究者らが過去の数十の調査結果から推計したところ、アラスカとハワイを除く米国では、猫に殺される野鳥は年間24億羽、ネズミやウサギ、リスなどの小動物は123億匹に上るという。

(2013年2月19日 21時34分)

この記事にはいちおう続きがありますが、有料会員でないと読めないことになっているので、紙媒体に掲載されたらまた出典明記で補うこととして。

 

正直「なんだこりゃ?」というニュースではあります。見出しも中身もぶっ飛んでる気がしたので、オリジナルにあたってみました。

記事で「英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に発表された」というのは、この記事のことです。

The impact of free-ranging domestic cats on wildlife of the United States (Scott R. Loss, Tom Will & Peter P. Marra)-「アメリカ国内における野生生物に与える放し飼いねこの影響」

2012年9月6日投稿・2012年12月12日受理・2013年1月29日公開となっています。上のリンクをクリックするとabstract(要約)が英文で読めます。本文を読むには、3.99ドルで48時間の購読権を買う(Rent)か8.99ドルで時間無制限の購読権を買う(Buy)必要があります。さるねこ父は買って読み始めたところですが……「こりゃ、ひどいな」というのが第一印象です。

 

買ってまで読む物好きはそういないと思いますし、英文要約もわざわざ読むのはめんどうだろうと思いますので、さるねこ父の方で要約を適当に訳しておきます。

建物や自動車などの人工物に当たったり、有害汚染物質の影響を受けたり、飼養動物によって捕食されたりといった、人間活動に由来する脅威によって、毎年何十億という野生生物の命が奪われている。

放し飼いのねこ(free-ranging domestic cats)は全世界に広まり、いくつかの島々における野生生物の絶滅をもたらしてきた。(島ではなく)本土における野生生物の死亡数に対して、こうした放し飼いのねこがどの程度の影響を与えているかについてはまだ明らかにされておらず、系統的解析や科学的データの検討を伴わない大ざっぱな見積もりしか出されていない。

われわれは、アメリカ国内における猫による野生生物の捕殺数について、システマティックにデータを解析・検討してその数量を見積もった。その結果、放し飼いのねこによって毎年14~37億羽の鳥類と69~207億匹の哺乳類が捕殺されていると結論づけた。この捕殺数は主にノラねこ(un-owned cats)によるものである(飼いねこ(owned cats)と対比した場合)。

この研究によって明らかになったのは、これまで考えられていたよりかなり多くの野生生物が放し飼いのねこによって捕殺されていること、そしてこのねこによる捕食こそが、アメリカ国内の鳥類・哺乳類の死因のうち、人間由来のものとされるほとんど唯一最大の原因であろうということである。

科学的に信頼できる保護策と政策的な介入が、この影響を軽減するためにとられる必要がある。

「鳥が死んじゃうのも哺乳類が死んじゃうのも、なにもかもねこのせいだ、ねこが悪いんだ、ねこめー、ねこめー!」って感じの要約ですが、特にさるねこ父がはしょったり誇張したりしているわけではありません。ほんとにこう書いてある。

 

ねこによる捕殺数を何十億匹・羽と見積もり、「ねここそがほとんど唯一最大の原因であろう」と結論づけているわりには、その他の人為的な要因(「窓や建物、鉄塔、自動車への衝突や農薬による影響」と書かれています)で何匹・羽死んでいるのかについての検討・記述はありません。なんでそういうことになるか、というと、実はこの論文が「実際に鳥が捕殺されたり窓にぶつかったりしているのを観察してカウントした結果」書かれたものではなく、「これまでに発表された推定データをたくさん集めて、それを統計分析して」書かれたものだからです。でもって、「ねこに殺された鳥や小動物の数」を見積もった研究はそこそこあったけれど、「鉄塔にぶつかった鳥の数」を見積もった研究はほとんどない、ので、「その他の人為的要因」についてはそれ以上の言及がないわけですね。

 

確かに、窓にぶつかる鳥が年間何十億もいるとはとうてい思えませんけれども、なんでしょうね、この違和感……(-_-)。

 

たとえて言うなら、「長崎新幹線が開通して、どのくらいの経済効果があるか、20本のリサーチ結果がこれまで出ているので、それらを合算して再度データ解析してみました、○○億円です!、すげえ!! 早く作るように『セイサクテキナカイニュウ』を働きかけなくっちゃ!」って言ってるようなものなんですよね。まともな経済学の論文としては、とうてい取り合ってもらえないレベルです。「は? ひとのふんどしで相撲とってないで、自分でデータ取ってこい!」って先生に怒られるレベルです。

そして「長崎本線(かもめ)をそのまま残した場合の経済効果がいくらになるかのリサーチ結果は、これまであんまり出ていないので、分析できませんでしたが、無視していいと思います」って書いちゃってる感じです。「いや、そこは『オモイマス』じゃないだろ」って突っ込みたい。

 

……このたとえを使うと、話があらぬ方向に広がりそうなのでこのくらいにしておきますが、少なくともさるねこ父はこの論文の内容妥当性には問題があると考えます。むしろ「なんらかの意図を持って、『結果ありき』でつくられたもの」だろうと思います。もちろん、ねこによる野生生物の補食が社会的に無視し続けてよい問題であるとは思えませんし、完全室内飼いへの移行推奨など、取り得るオプションもいくつか考えられると思いますが、この論文の意図はそれよりもっと煽情的で狡猾なのではないか、というのが率直な印象です。

 

 

つづく。

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