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ふみがうちにくるまで(1)

藤白子猫のふみが我が家にやってきたのは2009年7月21日のこと。一週間ばかり入院していた平野町ペットクリニックから退院してきたのだが、ふみをそこで看てもらうまでにはなかなか一騒動があった。

もともと野良だったふみを初めて見かけたのは7月4日のことだ。長崎市内から北部へ向かう国道206号線の歩道脇にある草むらとも木陰ともつかないところで、一人で遊んでいた。人間からみれば12畳ほどの本当に猫の額のようなスペースだが、当時まだ生後1ヶ月半ぐらいだった(と思われる)ふみにとってはそれなりの広い世界だったようで、風に揺れる雑草に挑みかかってジャンプしたり、木の幹を登り降りしたりして、楽しんでいたのだ。

とはいえ、歩道を隔ててすぐのところは4車線+路面電車がひっきりなしに通る国道だし、草むらのすぐ脇はコンビニなので、歩道も朝から夜中まで人通りは絶えない。子猫が暮らしていくには相当危険な環境なので、その傍を通るたびに生存確認をしたりして、しばらく気をもんでいたところ、11日の晩に事件が起こった。草むらの脇の方、ちょうどコンビニとの境あたりから、子猫のものと思しき鳴き声が聞こえてきたのである。「鳴き声」というよりは助けを求める「悲鳴」に近い。あちこち声のする方を探して、側溝をのぞきこんだり、道ばたに置かれているコンビニのコンテナをよけてみたり、端から見ればなかなか不審者のようなことを繰りかえしたあげくわかったのは、とんでもないところに子猫が入り込んでしまったらしいということだった。

草むらの隣にはコンビニがある。コンビニが入っているのは5階建てぐらいの雑居ビル兼マンションの1階なのだが、その雑居ビルの側面の壁、地面から30センチほどの高さのところに、なんのためだかわからないが通気口が開いている。普通ならば通気口にはフィンのついたキャップが被せてあるのだが、経年劣化でプラスチックのフィンが折れてしまい、子猫なら通気口にはいれてしまう状態になっていたのだ。にゃーにゃーと助けを求める子猫の声は、どうやらその通気パイプの奥から聞こえてくるらしいことがわかった。

というわけで、隣のコンビニで980円の懐中電灯を購入。通気口の中を照らしてみる。かなり奥の方まで水平に伸びているが、子猫の姿はない。しかし照らした明かりに気づいたのか、子猫の鳴き声はいっそう大きくなる。通気パイプが奥で折れ曲がったその先にいることは、どうやら間違いなさそうだ。

おそらく、活発で好奇心旺盛な子猫のこと、ひょいと通気口に入り込み、奥へ奥へと進んでいったところ、垂直に曲がったパイプを滑り落ちて上がれなくなっているのでは、と推測された。ちょうど雨の日だったので、通気口に傘を突っ込んでみたが、パイプが水平に伸びている長さは1メートル以上……ということは、雑居ビルの2階へ上がる階段の幅を超えて、コンビニ店内まで達しているのかもしれない。コンビニのバックヤードから外につながる通気口ならば、コンビニの店員さんにお願いすれば助けることができるかも。

ということで、さきほど懐中電灯を買った店員さんに、缶コーヒーを買いながら声をかけてみた。「あのー、すみません、変なことお訊きしますけど……」

IMGP14069-1.jpg

ふみがうちにくるまで(2) につづく

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ふみがうちにくるまで(2)

「あのー、すみません、変なことお訊きしますけど……」

「はい、なんでしょう?」

「外で子猫の鳴き声がしてますよね」

「ええ、さっきからしてますねえ」

「あれって、もしかすると助けを求めているんだと思うんですけど」

「はあ」

「すみません、ちょっと手の空いたときに、一緒に外を見てもらえませんか」

「あ、いいですよ」

 

長崎の人間は、基本的にひとが良い。これが東京だったら、不審者とまでは思われないにしても、面倒がってまともに相手にしてくれないのがふつうだろう、と思う。

しばらくしてお客さんの波が少し途切れてから、一緒に外を見てもらった。ひとの気配を察したのか、子猫はひときわ高くみゃうみゃう鳴きだした。

 

「あー、この奥にいるみたいですね」

「そうなんですよ、これって店の中からアクセスできるってことはないですか?」

「いやー、どうだろう、ちょっと見てみますけど、無理なんじゃないかなあ」

 

店内にもどって、バックヤード側を調べてくれた店員さん。

 

「いやあ、こっちじゃないですねえ」

「そうなんですかあ……ってことは、ええと、建物の内側からはアクセスできないってことですかね?」

「うーん、ちょっとわからないですねえ」

「…………」

「…………」

「どうしましょうかねえ」

「うーん、とりあえず警察を呼んでみるとかですかねえ?」

「そうですね……じゃあ、近くの交番までちょっと歩いていってきてみます」

 

というわけで、10分ほど歩いたところにある交番まで足を運ぶ。「あのー、すみません」

署内では若手の女性警察官の方と年輩の男性警察官の方が、ちょうど何か一つ案件を片付けたところであったらしい。一通り事情を話したところ、とりあえず準備をして現場に向かうから、ということで、自分は歩いて引き上げてきた。

待つことしばし。さきほどの2名の警察官がパトカーに乗って(さすがにサイレンは鳴らさないが)コンビニ前にやってきた。パトカーの停め場所にてまどる間に、なにごとかと野次馬も何人か立ち止まって見物している。

 

「ああ、確かに鳴いとるね。どこですか?」

「たぶん、この通気口の奥だと思うんですけど」

 ポケットからペンライトを取り出して覗き込む女性警察官。

「奥にいるみたいですけど、見えません」

 どれ、と男性警察官の方もペンライトを受け取って覗いてみる。

「見えんね。奥におるやろうけれども」

「ええ、そうなんですよ」

「これは……壁から壊して入らんばいけんね」

「そうなんですか……」

「オーナーさんに連絡とれる?」

「店長なら、ここを借りてるから、オーナーさんの連絡先もわかると思いますけど」と店員さん。

「とにかくね、オーナーさんの承諾がなかったら、警察としてもどうにも動けんのでね」

「そうですか、ちなみに、こう、テレビで見るようなペットレスキューとか、長崎にはないんですかね」

「さあー、どうかね……知らんねえ」

 

というわけで、親切に来てはくれたものの、建物のオーナーでなければどうにもできない、という事実がわかっただけである。店長さんは朝5時(!)にやってくるというので、引継ぎを店員さんにお願いして、わたしも引き上げることにする。といってももう終バスはとっくに出てしまっているので、歩くか、タクシーに乗るか……と思案しながら歩いていたところ、ケータイが鳴る。

 

「もしもし、××の交番の者ですが」

「はい」

「あなたがさっき言っとったペットレスキューね、あれ、消防の方でやっとるということがわかったので、連絡しました」

「そうなんですか、ありがとうございます」

「ただしね、土日はやっておらないで、平日の8時45分から17時半まで」

 

今は土曜日の真夜中になろうとする時刻である。明日日曜日はだめ、あさっての朝まで待たないといけない。それまで子猫の体力が持つだろうか。てか、そういうのって、24時間365日でないと、意味なくないか……まあ、人間の命がかかっているわけではないから、しょうがないのか……。

とりあえず明日日曜日にできるかぎり動いてみることにして、いったん家に戻ったのだった。

 

IMGP14895.jpg

 

ふみがうちにくるまで(3) につづく

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