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長崎市地域猫活動モデル事業説明会報告(6/18)

長崎市が昨年度からはじめた「地域猫活動モデル事業」の今年度分の説明会に、説明側のスタッフとして参加してきました。

 

写真
説明会前の会場準備風景

 

この事業の実施要綱は平成22年4月6日長崎市告示第234号として定められ(長崎市のホームページには告示データベースがないようです)、事前評価シートはこちらで閲覧可能です。基本的には「地域住民間での話し合いの取れた〈地域猫活動〉に対して、その不妊化手術にかかる費用を市が一部負担する」というものですね。その助成規模は、当初事業計画では2地区で上限30頭でした。1人の餌やりさんですら30頭抱えていることだって普通にあり得る長崎の現状としては、まことに微々たる「雀の涙」ほどの金額です。

 

この点をめぐって、昨年度の説明会では口論に近いやりとりがあったという話は聞いていました。参加した地区のねこ好きさんから「そんなちっぽけな金額で何になる? 本気で長崎のノラねこを減らす努力をするというのなら、何千万円かかけてでも地区丸ごと一気に不妊化しなければ意味がないのではないか!」という指摘があり、それに対して行政側では「ねこ好きのためだけにそんな予算はとうてい確保できない、そんなに言うなら自分たちでやればよいだろう」と応じてしまったため、かなり感情的なもつれを作ってしまった。そのもつれは延々積み重なり、昨年度の助成対象にもなったその方とセンターとの関係は、説明会前の段階で険悪なものでした。

また、昨年度は「なぜたった2地区なのか?」「そんなに狭き門なら、うちはとうてい無理だ」という嘆息の声が参加された地区の方から上がった、というふうにも聞いていました。「モデル事業」という性格上、対象が限定的になるのはいたしかたなく、それを「本格的な事業」へとつなげていくためには、しっかりとした「成功事例」と、モデル事業予算を大きく上回る「申請数」の2つを揃えていく必要があります。

 

今回さるねこ父は、事業の概要説明と地域猫活動というものの説明の2つを事業協力ボランティアである「長崎県地域猫活動連絡協議会」のメンバーとして引き受けましたので、主にその点がクリアになるように説明資料を組み立てました。PowerPointスライドとExcel表、それに協議会構成資料ちらしの3点になります。

 

資料1のポイントは以下のようになります。

  1. モデル地区の認定には「住民間の合意形成」と「認定地域猫に対する適正な終生飼育」が最低条件となること
  2. 単なる「不妊化助成事業」ではなく、「地域猫活動支援事業」であること
  3. モデル事業である以上規模が小さいのは宿命であって、もっと規模の大きい事業計画へつなげるために成功事例を積み重ねていく必要があること
  4. 「地域猫活動」は、地区内の「ねこをめぐる対立」を、地区住民同士の話し合いで解消していく「住民運動」であり、ねばり強い対話と相互理解が不可欠であること

そして、住民間の対話と相互理解のためのヒントとして、次のようなたとえをしてみました。

  1. もし自分が子ねこを拾ってしまったこどもだったとして、その子ねこを家で飼ってもらうためには、お父さんやお母さんにいろんな「約束」をするだろう……地域猫は「地域の飼いねこ」にすることだから、それを進めようとする側(主にねこ好きさん・餌やりさん)もやはりいろんな「約束」をしなければならないはずだ
  2. 「おれの金でたばこを吸って何が悪い、おれの勝手だろう」という愛煙家と「たばこなんてものはこの世からなくなってしまえばいいのに」という嫌煙家、双方の意見はそれだけではかみ合わず、長い対話の末に「分煙」などの喫煙ルールができてきた……「わたしの自腹で餌やりをして何が悪いの?」というねこ好きと「ねこは害獣だから即刻捕まえて殺してしまえ」というねこ嫌いの関係は、愛煙家-禁煙家の争いによく似ている、やはり対話の末の「ルール」をつくることが必要なはずだ=資料2の分類で示す「適正飼い主」「地域猫活動」「良い餌やりさん」を増やすことが必要
  3. 地域猫活動がかりに100%成功すれば、いずれ地区のねこは0になる=駆除が完了する、という理屈で「ねこ嫌い」を巻き込むことができるのではないか
  4. 自腹で餌やりや個人TNRをするほどのねこ好きも、ねこを見たら石を投げたり捕まえて駆除しようとするようなねこ嫌いも、「普通の人」から見れば両極端の「変人」である……ねこ好きはねこ嫌いを「ひとでなし」と、ねこ嫌いはねこ好きを「頭がおかしい」と見下している。その両者だけでは決して生産的な話し合いはできないから、「普通の人」を取り込むかたちでその地区の地域猫活動を進めていくべきではないか

……まだ決してうまい説明ではないですが、「地区の総意としての外ねこの管理」という「行政が支援できるかたちでの」地域猫活動は、だいたいこういった理解の上に成り立っていると、さるねこ父は考えます。このモデル事業における「地域猫活動」の趣旨が「公衆衛生の向上及び地域におけるコミュニケーションの円滑化」のために行なう「地域で問題になっている野良猫問題の対策」である(上記「実施要綱」第1条)以上、そのあたりが落としどころになります。


はっきり述べてしまえば、これはかなり行政側に都合がよい(≒変なクレームが付けられにくい)「地域猫活動」になります。別の言い方をすると、地区の住民がこのレベルまで持っていくのは「相当大変」です。昨年度も今年度も上がった「嘆息」は、門戸の狭さもさることながら、求められるレベルの高すぎることへのため息も混じっていると思います。

そのことは、昨年度実際に申請されて認定を受けたモデル地区・地域猫が3地区17頭にとどまったことからも明らかです。「30頭なんて少なすぎる!」というのなら、10地区、20地区から合計300頭、500頭といった申請があってもおかしくなかったはずですが、現実はそうならなかった。昨年度は申請の前段階で「ボランティアに連絡を取って協力を仰ぐ」としていた部分が嫌われた側面もあったかもしれませんが、それ以上にやはり求められたレベルが高かった。

 

ここで困ったことが生じます。「モデル事業」で「成功事例」を積み重ね、また予想を上回る「多くの申請」があってこそ、「もっと枠を拡大させた本事業」の請求根拠になるはずだった。ところが逆に「申請数はごく少なかったため、モデル事業規模で十分──最悪それ以下の小さな規模に縮小あるいは廃止」となるルートをたどりかねない。先行事例で壁を切り拓いて、あとから多くの地区がそれに続く、という絵が描けない、ということになってしまう可能性が出てきました。

個人的には、今年度まともな数の申請が出なければ、次はなくなるのではないか、と懸念しています。この場合、別の角度から「地域猫活動事業」が今後起こる可能性もほぼゼロに近づくことになります。「使いにくい助成なんだからあたりまえ」といえばそれまでですが、たとえ雀の涙でも「なくなった」という事実が与える悪影響は計り知れない。

 

では多少レベルを下げてでも(≒住民間の合意形成が不十分でも)目をつぶって認定してしまえばよいか、というとそうもいかない現実があります。「市が認定」すると、それは一種のお墨付きになります。十分な納得をしていない「ねこ嫌い」のひとたちはそれに対して不快感を感じる。結果として、地区の住民感情が逆に大きくこじれてしまう(当初の目的とは逆に)。「地域猫活動を始めたら、住民間の仲が悪くなった」というのでは、「手術は成功したが、患者は死んだ」的な、たちの悪い冗談にすらなりません。


やっぱり「地道でねばり強い対話による相互理解が必要」なのですが、極めて残念なことに、主催者である行政側がその趣旨を否定するような行為を今回の説明会では取ってしまいました。上に述べた、昨年度からこじれていた地域の方が今年度も参加され、従来の主張(もっと大規模にTNRを進めないと意味がない)を繰り返しつつ行政批判を行なったところ、問答無用で退室を命じる、という事態になってしまった。

 

批判のしかたが決してフェアではなかったことは確かですし、説明会の進行をあまりにも妨げる場合それを修正する権限は主催者にありますが、「退室を命じる」=「対話を否定する」ことは、「ねこ好きもねこ嫌いもみんな、ちゃんと話し合いましょうよ」という趣旨で行なわれるべき地域猫活動の説明会においては、不適切としか言いようがない。「意見を聞く時間は、あとでこれこれ設けるので、今はそうではない一般的な質問に時間を割くことにする」とでも宣言することが必要だったと、さるねこ父は考えます。

 

結果として、説明会で伝えるべきメッセージの柱に据えようとした「よく話し合って合意を形成しましょう」というのが、極めて空虚なものになってしまいました。「どの口でそう言うの?」と批判されてもしかたのない、明らかな「失敗」です。


それでは、行政は今回の不手際を反省して、「本気で長崎のノラねこを減らす努力をするというのなら、何千万円かかけてでも地区丸ごと一気に不妊化しなければ意味がない」という批判を受け入れ、何千万円は無理としても、何百万円だかの予算枠を設け、不妊化助成事業を行なうべきなのでしょうか?

 

地域猫活動モデル事業の方は年間44万円ないし45万円といった規模です。「少ない!」という気持ちはわかりますが、じゃあ全国的に見てお話にならないレベルの少なさなのか、というと、それはちょっと違うだろうとさるねこ父は考えます。

 

ぜんこく 犬猫助成金 リスト」というものがあります。何名かのボランティアの方々が、全国の自治体や獣医師会に直接確認を取って(!)、毎年更新されている助成金データベースです。これを見る限り、そもそも「地域猫活動」に助成金を出す自治体・獣医師会自体、きわめて少ないことがわかります。上限枠が備考欄に書かれているものも書かれていないものもありますが、たとえば九州内で行政主体のものだと、こんな感じです。

  • 福岡市……地域猫活動地域の指定を受けた地区内の地域猫について全額助成(上限不明、要問い合わせ)
  • 福岡県春日市……上限100万円・120頭(1頭あたりの助成額はオス5,000円・メス10,000円)
  • 佐賀市……21年度139匹、22年度149匹(1頭あたりの助成額は、自治会地域猫かグループ地域猫か、助成を受けて何年目かによって、全額から半額の間で補助)
  • 熊本市……熊本市動物愛護推進協議会の認定地区地域猫について、最大130頭(1頭あたりの助成額は5,000円)
  • 鹿児島市……保健所の認定を受けた地域猫活動地区の地域猫について、1頭あたりオス5,000円・メス10,000円(上限額不明)

これには長崎市の分は、「地域猫活動支援事業として地域猫に対し8,000円(上限額記載なし)」となっていて、今回のモデル事業の助成方法とは食い違いが出ています……認定地区の地域猫に対して自己負担2,000円分以外を助成(上限30頭)ですね。このほか、佐世保市では平成20~22年度にモデル事業を行なっていて、そこではトータル10箇所のモデル地区が設定され、オス8,000円・メス18,000円の補助があったと聞いていますが、今年度以降本格事業に入ったのかどうかは確認できていません。いずれにせよ、確かに福岡市や佐賀市に比べれば規模や助成枠の点で見劣りはしますが、「お話にならない」というのは少し言いすぎのような気がします。

 

長崎の猫の多さを考えれば(福岡市並みと考えてよいと思います)、たとえば「認定を受ければ、半額助成(≒オス7,000円・メス12,000円)、上限300頭・300万円」あたりを「本事業」で狙う、というのは現実的な戦略と言えるのかもしれない。そのために必要な「実績」を積み重ねていくことが、わたし=さるねこ父は合理的なやり方だろうと思います。

また「認定」のしかたにも問題はあると思います。地元の合意形成は確かに必要だけれども、必要以上にめんどくさくなっているようにも見える。佐賀市のようなやり方(自治会単位もしくは「3人以上のグループ」、いずれも自治会の了解が必要)あたりが、現実的に見えます。この佐賀市のやり方が、どのようにうまく行っているのかいないのか、見に行ってみたいなあ、と感じます。


地域猫活動は、地域ごとにさまざまなやり方があるのは明らかです。猫に対する住民の意識、猫と人間の関係性の濃淡に、地域差がある以上当然ですが、「東京のやり方を、そのまま長崎に持ち込んでもだめだ」とだけ言っていてもしかたがない、と、さるねこ父は考えます。「ねこ好き」にしても「ねこ嫌い」にしても、猫と人間の関係性が驚くほど濃いのが長崎だ、と以前書いたことがありますが、そんな場所で「ねこ好き」だけでルールを作ろうとしても、破綻するのは目に見えています。それは「愛煙家が作った喫煙ルール」みたいなものだから、ユルユルで、「ねこ嫌い」からみたらおよそお話にならない。

 

「行政側(動物管理センター)は、本当に動物愛護をやっていくつもりがあるのか!」という批判は、ある程度はあたっていますが、一面的に過ぎる部分もあります。「動物」に関する苦情・クレームは、現在の長崎市においてはすべて動物管理センターが対応にあたります。その件数は、NPO法人地球生物会議(ALIVE)さんの報告書によれば、平成21年度の一年間で延べ750件。単純計算で1日2件を、6名の職員で分担することになります。長崎県(県保健所)は28人で567件。東京都は63人で20,679件だけれど、職員の他に286人の動物愛護推進員がいます。長崎市も長崎県も推進員は0。クレーム内容は、犬も猫もありますが、「糞尿や鳴き声、ニオイで迷惑している」というのが大半であることは想像に難くありません。それらにひとつひとつ対応していく過程で、「やはり、いぬ嫌い・ねこ嫌いに対して一定の理解も求めつつ、いぬ好き・ねこ好きにも少し自重を求めて、トラブルを起こりにくくする」という考え方を身につけるのは、当然だと思いますし、それが行政に求められる公平・バランスということだと思います。「愛護ボラ」ならいくら偏っても自由ですが、行政が偏るのは問題です。

 

行政に頼るのではなく、また極端な愛護ボランティアに頼るのでもなく、ねこ好きという「変人」・ねこ嫌いという「変人」両方の間を取り持ちつつ、着地点を探せるような人物を、長崎にはもっと増やしていく必要があるように思います。自治会長さんがそれにあたるのかもしれないし、肩の力の抜けたボランティアかもしれないし、「愛護推進員」という肩書きの人になるかもしれない。いぬやねこについての適正な知識を持っていることは不可欠だから、「愛玩動物飼養管理士」のような民間資格の保持者や、「適正飼養講習会」を頻繁に開いて「受講完了証」みたいな「お墨付き」を増やしてもいい。「認定ボランティア制度」みたいな考え方ももちろんありだろう。たくさんのひとが関われば関わるほど、よい知恵も出てくるでしょうし、相対的なバランスも保てるようになります。

 

そういった流れを作っていくことこそが「行政と市民の協働」ということではないかなあ、と思います。行政任せでも行政批判でもうまくないし、ほかと足の引っ張り合いをするのはまったく無意味だ、というのがさるねこ父の考え方です。

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テーマ : 地域猫
ジャンル : ペット

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