ねこカフェパブコメの結果を考える

5月6日5月9日に記事を書いたねこカフェパブコメですが、粛々と集計は進められたようで、5月21日に当初の環境省による原案に近いかたちで改正することが報道発表されました。パブコメには、4月23日から5月7日までの15日間に1,716件のコメントが寄せられたそうです。昨冬の「犬猫の夜間展示規制」に関わるパブコメは1ヶ月間で32,974件が集まったのに比べると、関心の低さが窺われますね。

 

多くのブログでは、動物愛護側(改正=規制緩和反対派)によるものでも、ねこカフェ側(改正=規制緩和賛成派)でも、反対1,218、賛成462、その他36というような紹介がされていますね。愛護側は「反対意見が多いのに、こんな結果で残念だ」と悔しがったり、ねこカフェ側も「反対意見の方が多くても、猶予期間が設けられたのは、なんででしょうね」といぶかしんだり、数の上でなんとなくすっきりしないものは確かにあります。

 

しかし、それ以上にさるねこ父が疑念を持ちつつ注目したい点は、いつの間にか規制緩和を受ける業種が、当初のねこカフェのみを念頭に置いたものよりも広がってしまっているという点です。あんまりその点に触れている意見を目にしないので(探し方が悪いかもしれませんが)、個人的な覚書&注意喚起として記事にしておこうと思います。

 


 

当初のパブコメ募集の際の省令案(等)として示されたのは、次の文章です。

成猫(1歳以上のねこをいう。以下同じ。)を、飼養施設内を自由に行動し、休憩場所等に自由に移動できる状態で、午後8時から午後10時までの間展示する場合は、平成26年5月31日までの間は、当該成猫に関して、改正省令等中夜間展示規制に関する部分を適用しない。

 

これが実際の改正省令条文ではどのように表現されたかというと、こうなります。順番の入れ替えや表現の違いを除いて、付け加えられた部分を赤字で示します。

第三条 販売業者、貸出業者又は展示業者が、午後八時から午後十時までの間に、成猫(生後一年以上のねこのことをいう。)を、当該成猫が休息ができる設備に自由に移動できる状態で展示を行う場合においては、平成二十六年五月三十一日までの間は、当該成猫については、この省令による改正後の第三条第二項第九号及び第八条第四号の規定は、適用しない。

 

……ちょっと、ちょっと。展示業者(ねこカフェなど)はともかく、販売業者と貸出業者は、どっから湧いて出てきたんでしょうか? 某巨大掲示板で有名なフレーズを思い出しますね。

 

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

『ねこカフェの規制緩和を考えていたと思ったら

いつの間にか販売業者と貸出業者たちも規制緩和に加わっていた』

な… 何を言ってるのか わからねーと思うが

おれも何をされたのかわからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…

 

さるねこ父もポルナレフな気分です。なんでやねん、なんでやねん、と報道資料を眺めていたら、パブコメ集計結果のなかの「環境省の考え方」欄に理由が見つかりました。4ページあるなかの集計結果の3ページ目下から1/3あたりです。

 

動物に対する影響を考えた場合、展示行為を行う主体の違い(販売業者、展示業者又は貸出業者による影響の違い)はないため、販売業者、貸出業者、展示業者全てを対象としました。

 

究極的なロジックだなあとさるねこ父は感心しました。あくまで「動物愛護の精神」つまり動物の方(動物に与える影響)を主体に考えたときには、20~22時に成ねこが展示されるのは、ペットショップでもねこカフェでも、ねこにとっては区別できないでしょ? というロジックになります。理念上は確かに「外形的な展示のための条件=成ねこで、自由に休息できること」を満たせば、ねこカフェとペットショップを区別する理由がない。実際問題としては、ねこカフェの休息場所とペットショップの休息場所は質的に大きな差があるかもしれないけれども、今回の規制緩和は「質的な条件」については述べられていない。そもそもの言い出しっぺであるねこカフェ業界側は、6月1日の法改正が目前に迫っていることから、そこまで踏み込んだ主張を行なえなかったからでしょう。

 

というわけで、ねこカフェ業界は、当初思ってもいなかった風穴を開けてしまったことになります。「猫カフェ連盟準備委員会」が4月12日に中央環境審議会動物愛護部会に提出した陳情書には、堂々とこう書かれています。

 

今回の夜間展示規制において想定されているペットショップとは、展示専門業者である猫カフェは、展示方法が大きく異なります

 

陳情書の附帯文書である本間合同法律事務所作成の意見書では、もっと露骨ですね。

 

本改正は、もともと、商品としての動物を狭いケージに入れ、販売目的で消費者の品定めのために展示するペットショップを想定していたものであり、こうした販売目的の展示を行なうペットショップと「猫カフェ」とはその業態を全く異にする。仮に深夜販売や販売目的の深夜の展示を規制するのであれば、まさに深夜販売や販売目的の展示に限り規制すればその目的は達し得るのであり、猫カフェのように販売を伴わない展示まで含めての規制は広汎に過ぎると言わざるを得ない。

 

「おれたちは、ペットショップなんかとは違うんだ! 違うんだぞー!」とねこカフェ業界(の一部)が息巻いて始まった今回のパブコメですが、終わってみれば環境省からは「おまえら区別できん。ねこカフェも、ペットショップも、一律緩和なら緩和、規制なら規制だ」と言われちゃった、ということになります。

 

そして、実はこれは、パブコメが始まる前からわかっていた結論でもあります。4月16日に開催された第29回中央環境審議会動物愛護部会議事録には、猫カフェ連盟準備委員会代表の福井隆文氏による説明と質疑応答を経たあと、ねこカフェパブコメを行なうかどうかの決を採る直前にこんなやりとりが残されていました。長いですが、非常に興味深いので、引用します。

 

【林部会長】 ありがとうございます。
 菅谷委員、この原案には、どこにも猫カフェというのは入っていないんですね

【菅谷委員】 でも、問題点にしたのは猫カフェなんでしょう。

【林部会長】 いや、そんなことはありません。

【菅谷委員】 そうでないと、これまでの論議がおかしくなると思います。

【林部会長】 おかしくならない。例えば、規制はどこかの業種だけに対して特別な措置を設けることはできないのですよ。だから、例えば、ペットショップであっても、1歳以上の猫を広いところで展示するのならば、いいですよと言ってるのです。そういうことになるんですよ、これは。この猫カフェと同じ基準に入る。

【菅谷委員】 猫カフェのみの特例ではないということであれば納得できます。

【林部会長】 猫カフェだけに対してお話しましょうと言ったのは、そういう意味ではないので、ここでは全然、猫カフェの定義なんか要らないのですよ。
 少なくとも、休憩設備、あるいは場所等が自由にできるところを言っているわけです。

【菅谷委員】 猫カフェを中心に議論をしてきたので猫カフェに特例を設けるのかと思っていましたが、そうではなくて、今の座長の話だと、全体の業種に関わる話ですね。

【林部会長】 そうです。だからペットショップで、普通はこう売っているので、これは猫の話だけですが、1歳以上で、しかもあんなふうにおりに入れている状態でなかったら、猫カフェと同じ状態になりますよ。例えば、そういうことです。

【菅谷委員】 わかりました。

【林部会長】 これは、サーカスでも同じことなんです。

【事務局】 そういう意味で、動物園であっても、動物園は比較的こういう形態だと思いますが、同じです。

【林部会長】 そういうことです。
 他にご意見、ご質問、あと5分ぐらいしかないのですが、ありますか。
 どうぞ。

【斉藤委員】 今の猫カフェの関係ですが、これを猶予期間、経過措置を設けながら検討をしていくという中で、百何十店舗ある中の自主基準といいますか、今もそれぞれの店には何かしらの基準があるかと思いますが、業界として、猫にストレスのかからないような飼育基準をしっかりと打ち立てて、広げていくということが、この経過の中には必要と思います。そういうものを見ながら、また検討していくことになるかと思いますが、是非そういう努力をしていただければと思います。

【福井氏】 はい。

【林部会長】 よろしいでしょうか。
 それでは、いかがでしょうか、この機会を逃すと、またもう1回この部会をやるわけにもいかないのでご了解いただけますか。先程、言いましたが、本来、この省令のもとになる論議は、ここまで対象にしようという、そういう意図は全くなかったわけです。すると、ここで何らかの対応をとっておかないと、猫カフェさんも、サーカスも、猫を展示する場合には、影響を受けるかもしれない。
 それから、他の動物はどうかという話はまた今後の問題になってきますが、一番夜行性の強い家畜である、ペットである猫について、2年間の経過措置をとれば、今年の6月からの施行には、何とか間に合うと。これで、パブリックコメントやっていただいても間に合う形はとれるんですね。

【事務局】 1カ月パブリックコメントの期間をとってしまうと、難しいのですが、パブリックコメントでもこういう経過措置であって、施行間際のものであれば、少し期間も短縮できますので、そういう意味では、これからすぐ対応させていただければ間に合うスケジュールではございます。

【林部会長】 ということでございますが、委員の皆様、いかがでしょうか。
 この原案どおりでよろしいですか。

(異議なし)

 

 

……だったらパブコメ採るのやめよう、とは、なぜかならなかったみたいですが、まあ、とにかく向こう2年間はねこカフェも、ペットショップも、サーカスも、ちゃんと成ねこが自由に休憩できるようにすれば、22時まで絶賛営業中、になりました。

 


 

今回の規制緩和を求めたねこカフェ運営をされている方のブログもいくつか読んでみましたが、「負けたけど勝ったけど、えーと、喜んでいいのかなあ、どうなのかなあ……」という文体が多かったのが、さるねこ父には印象的でした。「ペットショップにも抜け穴つくってあげちゃったんだぞ! どうすんだ!」という批判はありえるとして、どうせだったら、ねこカフェ業界は、当初の「うちは、そこらのペットショップとは違うんです!」という姿勢を貫き通して欲しいなあと思います。

 

ねこボラとして常々思っていることがあるのですが、いぬ飼いさんたちは、しつけインストラクターさんやトリマーさんなどを介して「つながる〈場〉」があるのですが、ねこ飼いさんたちにはあまりそういう場がありません。そのことが、社会における人間とねこの関係をよりよくするためのネックになっている、と、さるねこ父は感じます。もしかして、ねこカフェがねこ飼いさん・ねこ好きさんをつなぐ〈場〉にならないかな、なんて期待もしています。

 

今回の猫カフェ連盟準備委員会代表の福井さんのねこカフェ「きゃりこ」の吉祥寺店に、さるねこ父は以前、ちょうど1年前に行ったことがあります。

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単なるねこ好き(でも飼うのはムリ)のひと向けだけにできているわけではなく、地域ねこ活動と連動していたり、ねこを飼う前のひとにねこと接するときのマナーを体験させる場所としても機能していたり、さまざまな工夫をされているのは感じました。一方で、純血種中心で、なんともいいようのない微妙な距離感を保つねこたちとのふれあいには違和感も感じました。どんな? と言われても、自分が一緒に暮らすカンナやふみも、まちで出くわすねこにも、そういう距離感を感じたことがない、としか言いようがないのですが、やはり「作り物の(ねことの)関係性」を感じ取ってしまい、積極的に次からも利用しようという気にはあまりなりませんでした。このへんは、「お金を出したからには、ちゃんとねことふれあえないと嫌だ」という需要がある以上、しかたのないところなのかもしれません。

 

でも、期待はしてみようかと思います。

 

どういうかたちがよいのかは、さるねこ父もまだうまく言いあらわせませんが、ねこカフェが、ねこを飼わないねこ好きにとっても、ねこを飼っているねこ好きにとっても、そこに集いたいと思えるような結節点になるといいなあ、と思います。

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No title

こんばんは!
今日の投稿に、こちらの記事のリンクを貼りました。
先に承諾を得なければならないのに、すみません!!
事後承諾になってしまいました・・・・v-13

ヨロシクお願いいたします。

ジュジュのママさま

ありがとうございます。うちの記事は、いつでも勝手に引いていただいてけっこうです(^_^)。


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