『ネコの「困った!」を解決する』
カンナと同じシロクロさんのキャトくん(英国在住)が登場するブログ「CATTO王国日記」で紹介されていた、壱岐田鶴子『ネコの「困った!」を解決する』(サイエンス・アイ新書)を買って読んでみました。
購入した吉祥寺の本屋では、イヌと並べて売られていましたが、売れ行きが全然違っていたのはなぜだろう?
なかなかにおもしろい本です。どこがおもしろいかというと、ある程度ねことの暮らしにどっぷり浸かってしまったひとなら陥るであろう感覚――「ああ、もう、ねこさまのなさることだから、部屋のソファでばりばり爪研ぎされようが、ふとんの上でおしっこされようが、時々本気で足を噛まれようが、しかたない、ねこさまだもの」と諦観の境地に達してしまうところを、動物行動治療学の観点から分析し直して、「こうすれば、対処は可能である」という道筋を示している点です。
だからといって、小難しく理論ばかりが並んでいるのか、というとそうではなく、逆に一般化できないような特殊な事例ばかりが並んでいるのか、というとそうでもなく、「理論+対処」の部分と、どこにでもありそうな「ケーススタディの紹介+診断+対策」の部分とが、交互に展開されているので、とても読みやすいです。どこからでも読み始められる。
そして「ほのぼのイラスト満載の全ページカラー」です。こんな感じ。
これは127ページのイラストで、「事例:足に跳びついてきたり、咬みついてきたりします」の「対策」部分で使われています。
変わったところでは、巻末の方で「古典的条件づけ」「オペラント条件づけ」なんて話題も出てきます。いぬのしつけをされる方にはごくあたりまえの概念だと思いますが、「ねこ本」で条件づけによる「しつけ」の話が出てくるケースは、レアだと思います。「ねこにしつけなんてできるの?」と半信半疑ながら読んでいくと、意外に納得できる部分もあったりします。
というわけで「ねこの(問題)行動について、きちんと学んで理解してみたい」という方には、この本はオススメです。
- 『ネコの「困った!」を解決する』
- 著者:壱岐田鶴子(いき・たづこ)
- サイエンス・アイ新書 SIS-237
- 発行:ソフトバンククリエイティブ株式会社(2012年3月)
- ISBN:978-4-7973-6199-5
- 本体952円+税
- サイエンス・アイ新書 SIS-237
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