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長崎市動物管理センター収容犬について(2) 保護・捕獲・引取

その1の記事の中で最初にふれた7頭の処分犬がどのような判断によって選ばれたのか。これについて、動物管理センター職員のH獣医さんに時間をとって説明していただいたので、その内容に加え、少し法律条文も参照しながら考えていきたいと思います。

 

はじめに「保護」「捕獲」「引取」ということばについて説明しておきます。スマイルくんは「保護」、マーブルズとく~る&ぽんの4頭は「捕獲」、26/27日に入ってきてまもなく処分された2頭は「引取」という区分でセンターに収容されていました。

 

「保護」と「捕獲」は、基本的にはセンターの職員が出向いて捕獲した犬についての区分になります。法令としては狂犬病予防法第6条(抑留)に基づくもので、長崎市の場合は長崎市犬取締条例第5条(犬の抑留)・第6条(抑留の公示)と合わせる形で行なわれています。

 

狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)

第六条 予防員は、第四条に規定する登録を受けず、若しくは鑑札を着けず、又は第五条に規定する予防注射を受けず、若しくは注射済票を着けていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならない
 予防員は、前項の抑留を行うため、あらかじめ、都道府県知事が指定した捕獲人を使用して、その犬を捕獲することができる
(3~6項省略)
 予防員は、第一項の規定により犬を抑留したときは、所有者の知れているものについてはその所有者にこれを引き取るべき旨を通知し、所有者の知れていないものについてはその犬を捕獲した場所を管轄する市町村長にその旨を通知しなければならない。
 市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、その旨を二日間公示しなければならない。
 第七項の通知を受け取つた後又は前項の公示期間満了の後一日以内に所有者がその犬を引き取らないときは、予防員は、政令の定めるところにより、これを処分することができる。但し、やむを得ない事由によりこの期間内に引き取ることができない所有者が、その旨及び相当の期間内に引き取るべき旨を申し出たときは、その申し出た期間が経過するまでは、処分することができない。
10 前項の場合において、都道府県は、その処分によつて損害を受けた所有者に通常生ずべき損害を補償する。

 

長崎市犬取締条例(昭和43年条例第2号)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)飼い主 犬を所有し、占有し、又は管理する者をいう。
(2)飼い犬 飼育されている犬で飼い主のあるものをいう。
(3)野犬 飼い犬以外の犬をいう。
(4)けい留 飼い犬をじようぶなくさり若しくは綱でつなぎ、又はおり、さく若しくは障壁の中に入れて一定範囲にその行動を制限することをいう。
第5条 市長は、野犬及び第3条第1項第1号の規定によるけい留をされていない飼い犬を抑留することができる
 市長は、前項の抑留を行なうため、あらかじめ指定する職員をしてその犬を捕獲させるものとする。
 前項の職員は、犬の捕獲に従事するときは、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
第6条 市長は、前条第1項の規定により犬を抑留したときは、その旨及び飼い主のあるものについてはこれを引き取るべき旨を2日間公示しなければならない。この場合において飼い主の知れているものについては、あわせてその旨を通知するものとする。
 市長は、飼い主が前項の公示期間の満了の日後2日以内にその犬を引き取らないときは、これを処分することができる。ただし、やむを得ない理由によりこの期間内に引き取ることができない飼い主が、その旨及び相当の期間内に引き取るべき旨を申し出たときは、その申し出た期間が経過するまでは処分することができない。
 市長は、前項の処分後飼い主から申し出があり、その申し出の遅延理由が妥当と認める場合には、通常生ずべき損害を補償する。

 

狂犬病予防法と長崎市犬取締条例とでは、捕獲~抑留の対象となる犬についてずれが生じる可能性がありますが、実際の運用上は「そこらへんをふらふらしている犬は、飼い主が明らかであるか否かを問わず、いったん捕獲してセンターで抑留する」ということになります。そして、このようにしてセンターに入ってきた犬が統計上は「捕獲犬」としてカウントされます

 

一方、基本的には飼い主(またはその家族)がセンターに持ち込んだ犬については「引取」という区分になります(飼い主ではない誰かが、飼い主のわからない犬を捕まえて、それをセンターに持ち込んだ場合も、法律上はこの「引取」に該当します)。法令としては動物の愛護及び管理に関する法律第35条(犬及びねこの引取り)に基づいて行なわれており、このようにしてセンターに入ってきた犬は統計上「引取犬」としてカウントされます

 

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)

第三十五条 都道府県等(都道府県及び指定都市、地方自治法第二百五十二条の二十二第一項 の中核市(以下「中核市」という。)その他政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)は、犬又はねこの引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。この場合において、都道府県知事等(都道府県等の長をいう。以下同じ。)は、その犬又はねこを引き取るべき場所を指定することができる。
 前項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又はねこの引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する
(3項以下省略)

 

以上をまとめると、「センターが捕まえに行った犬=捕獲犬」「飼い主もしくは第三者が持ち込んだ犬=引取犬」となります。

 


 

捕獲犬については、首輪や鑑札等から捕獲後に飼い主が判明するケースや、飼い主がセンターで探し当てるケースがあり、この場合は飼い主に「返還」されます。つまり、その捕獲犬はセンターから無事に出ることができます。ですから、

  • きちんと首輪に連絡先を書き込み、鑑札を付けておくこと
  • 飼い主が、迷子になった飼い犬をちゃんと探すこと

で、返還によって収容犬を減らすことができるわけです。首輪・鑑札が第一ですが(それ以前に迷子にしないのが大事ですが)、百歩譲ってちゃんと探してくれるなら、いつかはその捕獲犬は飼い主の元に帰れます。もともとの法制度上は、抑留後の公示2日+公示終了後の猶予期間(1~2日)が経過すればその捕獲犬は「処分」してよく、その処分とは実質的には「殺処分」だったわけですが、現在の運用上は「可能な限り飼い主を待つ」ことになります。

 

そして、ここが殺処分となるか否かの分かれ目の一つになります。「どう考えても飼い主がいそうだ」となればおいそれと処分はできませんし、逆に「どう考えても飼い主はいなさそうだ=根っからの野犬だ」となれば真っ先に処分対象となります。

 

長崎市動物管理センター収容犬のページをみると、「保護(迷い犬等)」「捕獲犬」「引取り(飼い犬)」というふうに区分されています。少しわかりにくいですが、「保護(迷い犬等)」と「捕獲犬」は狂犬病予防法+長崎市犬取締条例に基づく捕獲、「引取り(飼い犬)」は動物の愛護及び管理に関する法律に基づく引取(の一部)によるものです。(※第三者が自分で飼い主不明の犬を持ち込んだ場合は、長崎市の区分では「保護(迷い犬等)」に該当することになる気もしますが(「飼い犬」ではないので)、未確認です。わかり次第追記します。)

 

ここまでを一覧表にするとこんな感じです。

根拠法令

行政行為

センターでの分類

備考

狂犬病予防法

+犬取締条例

捕獲

保護(迷子犬等)

人慣れしており
譲渡の可能性あり

捕獲犬

人慣れしておらず
譲渡の可能性低い

動愛法

引取

引取り(飼い犬)

人慣れしており
譲渡の可能性あり

 

捕獲犬を「保護」と「捕獲」に分ける境目は、「どう考えても飼い主がいそうだ」というのが「保護」、「どう考えても飼い主はいなさそうだ」が「捕獲」になります(微妙な部分もありますが)。後者は、常に処分候補の上位に位置しますし、実際今回処分された7頭のうち4頭は「捕獲」区分の収容犬でした。

 

「捕獲」区分となる犬は、基本的に人間を信頼するということをしてこなかった犬です。いわゆる「野犬」の多くがそうなりますが、そもそも人間に近寄ってこようとしない。捕獲する際にも、なかなか捕まらず、大がかりなトラップを仕掛けたりして何日もかけてようやく捕まえられるケースがほとんどです。

ただ、必ずしも人間を威嚇するとは限らず、見た目はおとなしそう・攻撃性が少なそうに見える犬もいます。マーブルズやく~る&ぽんは、決して威嚇してくるような犬ではなかった。犬との関係性を作れるエキスパートがじっくり時間をかけて信頼関係を構築していけば、少しずつ心を許して、よいパートナーになる可能性もあったと思います。センターに十分なスペースがあり、マンパワーがあり、資金があれば――つまり長崎市動物管理センターがイギリスなどのシェルターに相当するようなものであれば、マーブルズもく~る&ぽんも、いつかはセンターを出ることができたはずです。でも、センターはシェルターでは(まだ)ない。

 

威嚇するような犬ではないから、まだ人間を信頼していないけれど、譲渡することはできたのではないか、と考える方もいらっしゃるかもしれません。譲渡先が犬のエキスパートであればそれはあり得たと思います。けれども、ごく普通の犬好きというレベルでは、彼らの信頼を勝ち得る前に、彼らの方が人間から逃げ出してしまう可能性が高かった。相当の手間をかけて大がかりに捕獲した犬を、もし新しい飼い主が逃がしてしまったら、また同じことを繰り返して捕獲しなければならない。センターの業務が市民の税金で運用されていることを考えれば、それはどうしても「ムダ」と非難されざるを得ない。センターとして、そんな危険な譲渡はできない、ということになります。

 


 

次に「引取り」区分について考えます。これは「飼い主に見放された犬」ですから、「飼い主が迎えに来ること」はない。一方で、「それまでは人に飼われていた犬」だから、「人間との関係性はそれなりにできている=捕獲犬とは違う」ことになります。

パートナーを見放すような人間との間で形づくられた関係性がどこまで有効か、というのはケースバイケースになります。飼い主はとてもその犬をかわいがっていたけれども、飼い主の病気や死亡によって飼い主の家族が持ち込む例は少なくありません。こうしたケースなら、新しく優しい家族に迎えられれば、ほどなくよい関係を形づくることができるでしょう。

逆に、ほとんどネグレクト状態に置かれていたようなケースなら、「捕獲」区分の犬と同じような状態だったり、あるいは非常に人間に対して攻撃的な威嚇を行なったりすることもあるかもしれない。重度の病気を見過ごされているかもしれないし、ぼろぼろの状態で持ち込まれることも珍しくない。

 

一つ前に述べた狂犬病予防法による捕獲犬のうち、「どう考えても飼い主がいそうだ」という「保護(迷い犬等)」区分も、引取犬と同様、ケースバイケースになります。「飼い主がいそうだけど、いつまで経っても名乗り出がない」「飼い主の元を離れてだいぶ経っていそうだが、とても人なつこい」「人にはなつくが、他の犬には威嚇する」「人嫌いではないが、吠えがひどくて、人間がコントロールするのが難しい」「老犬で病気を抱えており、ターミナルケアが必須」などなど。新たな飼い主さんとのマッチングに、いくつかのハードルを抱えているのは、引取犬と大きな違いはないと言ってよいでしょう。

 

飼い主の名乗り出が見込めない「保護」区分の犬や、「引取り」区分の犬がセンターから出るためには、「譲渡」を待つしかありません。譲渡か、処分(収容中死亡を含む)か、です。ある程度想像はつくと思いますが、「譲渡」の枠は決して大きくはありません。ほとんどが成犬であることも、譲渡を難しくしていますし、さらにマッチングのハードルも高い。7月22日のセンター譲渡会・7月29日の湊公園譲渡会で参加犬たちがみな苦戦したのは、これらが重なってのことになります。

 

出口が絞られているのであれば、次第に収容犬が増えていけば「殺処分」は避けられません。「譲渡の可能性の低い犬」から順に選ばれてしまうことになります。大きな病気や感染性の病気を抱えている、人間によるコントロールが難しい、余命いくばくもない、など。今回殺処分されたうち、直前に持ち込まれた引取犬2頭は健康上の理由、保護犬のスマイルくんは主として「コントロールが難しい」という理由で(そして従として「他の収容犬との折り合いを付けるのが難しい」という理由で)選ばれました。

 


 

捕獲犬の4頭にせよ、引取犬・保護犬の3頭にせよ、「だから、殺処分でもしかたがなかったのだ」と言いたいわけではもちろんありません。収容犬は、その犬に過失があってセンターに入ってきているわけではない。いかに人慣れしていない野犬であっても、人間の手によってつくりだされた種であるイエイヌ (Canis lupus familiaris) である以上、彼らを生み出したのはわたしたち人間です。マーブルズもく~る&ぽんも、本来はわたしたち人間と共存できるはずの動物で、ただ個体としてそれがそうではない方向へ学習してしまっただけのこと。

 

たとえば、人間は誰でも言語を操る能力を持っているけれど、生まれた子どもに周りが一切コミュニケーションを取らないで食事だけ与えて育てれば、言語を覚えることはない。じゃあ、それはその子どもの責任か、と問われれば、そうだと答える人はいないはずです。

イエイヌも、人間社会において人間と共存する能力を持っているけれど、その能力の発達を妨げられれば人を信用しない「野犬」になる。でもそれは「野犬」のせいじゃない。責任はわたしたちの側にあると考えるべきでしょう。引取犬2頭や、スマイルくんに至っては、言うまでもない。

 

わたしたち人間が負うべき責任を負わされて殺処分された7頭に対して、自分は何をできるだろうか、と考えていくと、以前ねこの殺処分について考えたことと重なってきます。「現実をきちんと知って、受け止め、考えること」、そして「わかったことを一人でも多くに伝えていくこと」。犬をセンターに持ち込んだり、迷子にしても探さなかったり、飼うのが面倒で野山に捨てる人を槍玉に挙げて、それで収容犬が減るならそれもいいと思いますが、さるねこ父はどちらかというと「知ること」「考えること」「伝えること」に力を注ごうかな、と思います。

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