長崎県美術館企画展「手のなかの空 奈良原一高 1954-2004」

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2月9日にねこ会議が終わったあと行ってきました。

手のなかの空 奈良原一高 1954-2004
会期:2013年1月2日(水)~2月15日(金)
開館時間:10:00~20:00(最終日2月15日は18:00まで) 最終入場は30分前
会場:長崎県美術館(長崎市出島町2-1)
主催:長崎県美術館
観覧料:一般1,000円・大学生&70歳以上800円・高校生600円・中学生以下無料
概要:長崎ゆかりの写真家・奈良原一高(1931-)の大回顧展。今回の展覧会では、長崎沖の炭鉱島・軍艦島を写した衝撃のデビュー作「人間の土地」をはじめ、50年間にわたる写真家としての活動の全貌に迫ります。特にその核を形成した50-60年代に焦点をあて、奈良原芸術の魅力の本質を探ります。

奈良原一高(ならはら・いっこう、1931-)は戦後日本の芸術写真家として著名な人物で、その写真家としての経歴の第一歩を長崎の軍艦島と鹿児島の桜島を撮影記録した個展「人間の土地」(1956年)でスタートさせたことから、今回の奈良原回顧展の巡回先の一つに長崎も選ばれたのだろうと思います。軍艦島の写真としては、こちらの写真が有名ですね。

 

当時人口がピークに達しようとしていた端島(軍艦島)において極めて人工的な空間で特異な生活を営むひとびとと、1946年の桜島噴火によって全村が火山灰と溶岩の下に埋没してしまうという苛烈な自然環境にもかかわらずその同じ場所での生活再建をめざす黒神村(桜島東岸)のひとびとの写真とを二部構成で展示した「人間の土地」は、大きな反響を呼んだようです(今回の回顧展に展示されていた写真群を見た範囲でのさるねこ父の個人的な印象ですが、軍艦島の写真よりは桜島の写真の方が、「人間の営む生活のリアルさ」という点では上です)。1958年の2回目の個展「王国」で奈良原は、北海道のトラピスト修道院と和歌山の女子刑務所を題材に選び、より極限的な人間の生活の営みを写し出そうと試みていますが、全部で500点を数える今回の回顧展で興味をひかれたのは、このあたりまででした(あくまで個人の感想です)。

 

最初の個展には池田満寿夫らによるグループ「実在者」が深く関わり、1959年には、先ごろ亡くなった東松照明や細江英公、川田喜久治など当時20代後半~30代前半の若手写真家とともに写真家集団VIVOを結成するなど、当時の新しい=若い芸術社会運動の尖端部にいた奈良原ですが、1960年代以降は、長期にわたる滞欧・帯米経験をもとに、「人間と文化」をめぐるある種の文化批評・文明批評が写真のテーマとなっていったように、さるねこ父には感じられました。その点で、「人間の生活の営み」にこだわり続けた上で社会を捉えようとした東松照明と比べると、今ひとつ写真に魅力を感じないなあ、というのが率直な感想です(あくまで個人的な嗜好の問題ですが)。

写真の芸術的なセンスという意味ではたぶんすごいひとなのでしょうけれども、さるねこ父的には、土門拳や木村伊兵衛であるとか、あるいは東松照明も参加していた岩波写真文庫の写真を観ている方が、かき立てられるものがある。奈良原も、最初期においてはそれに近いところにいた人だと思うのですが、どこからか道が分かれていったのでしょうね、と思った回顧展でした。

 

奈良原一高展は15日金曜日18時までです。

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テーマ : 長崎
ジャンル : 地域情報

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